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09/10/20火

一人親方の報酬は給与所得か事業所得か

カテゴリー: 記事 — simojo @ 0:06:44

大工、左官、とび職等の受ける報酬が事業所得(所得税法第27条)に該当するのか給与所得(同法第28条)に該当するかについては、これまで、昭和28年に定められた「大工、左官、とび等に対する所得税の取扱について」(法令解釈通達)などを拠所にしてきましたが、これらは就労形態で判断するのではなく、店舗所有の有無や使用人の有無など二次的な基準が示されているため、実務上の判断基準に馴染まないものとなっていました。
このため国税庁は10月7日、実質を重視した新たな基準案として「大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いについて(法令解釈通達)(案)」を公表し、意見を求めています。公式発表までに多少の修正はあるかも知れませんが、今後は新しい通達により判断していくことになります。 以下にその要点を示しておきます。

1.対象者の定義
 「大工、左官、とび職等」とは、
 日本標準職業分類(総務省)の「大工」、「左官」、「とび職」、「石工」、「板金作業者」、「屋根ふき作業者」、「塗装作業者」、「植木職、造園師」、「畳職」に分類する者その他これらに類する者をいう。

2.所得区分の定義
 事業所得…自己の計算において独立して行われる事業から生ずる所得をいい、
        例えば、請負契約又はこれに準ずる契約に基づく業務の遂行ないし役務の提供の対価は事業所得に該当する。
 給与所得…雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく役務の提供の対価をいう。

3.所得区分の判断基準
 以下の項目を総合的に検討して判断する。

(1)他人が代替して業務をすることが認められるかどうか。 代替不可なら給与所得
(2)報酬の支払者から時間的な拘束を受けるかどうか。 受けるなら給与所得
(3)業務の遂行に際して具体的な内容や方法について指揮監督を受けるかどうか。 受けるなら給与所得
(4)未引渡しの完成品が不可抗力により滅失した場合でも報酬請求権があるかどうか。 あるなら給与所得
(5)材料や作業用具等を供与されているかどうか。 供与されているなら給与所得

【税理士から一言】
報酬を支払う側(一人親方を使う側)としては、支払う報酬を給与の支払とした場合、原泉徴収義務が生じるなど何かと面倒なので、つい外注経費にしたくなるものです。しかし、税務調査により上記の判断基準に基づいて明らかに給与所得であるとの認定を受けた場合、過去に支払った金額は原泉徴収後の金額とみなされて、源泉徴収税額相当額は未納とみなされ、不納付加算税とともに納税しなければならなくなります。目先の都合だけで判断しないようにしましょう。

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その後、確定版が公式発表されたので、こちらを参照してください。H21.12.22

09/10/05月

平成21年分「年末調整のしかた」が掲載されました。

カテゴリー: 記事 — simojo @ 14:23:19

国税庁のHPに平成21分の「年末調整のしかた」が掲載されました。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2009/01.htm
昨年と比べて変わった点を見てみると、住宅関係の変更点が少しあるくらいでした。
今年は無難に通過できそうです。

ちなみに10/14発表記事によると、鳩山内閣による扶養控除廃止は、2011年分からだそうです。
そして配偶者控除は廃止しないとのことでした。

09/07/19日

中小企業雇用安定助成金/雇用調整助成金

カテゴリー: 記事 — simojo @ 15:42:18

 昨年秋から暮にかけて派遣切の増加や雇用調整助成金(雇用安定助成金)申請者急増のニュースばかりだったのを記憶しています。最近あまり助成金のニュースを耳にしなくなりました。さすがに既に多くの会社は申請済みということなのでしょう。
 当事務所でも、この助成金についてお手伝いしている会社が何件かありますが、必ずしも従業員の給料を減らさなくても、適用要件をクリアしていれば雇用維持に努力しているということで、休業一回につき一定額の助成金が支給されますので、某社長などは最近大変満足げな顔をしていらっしゃいます。つまり、休業日を設けることができるなら申請しなくては損な制度といえそうです。
 例えば一人一日7,000円の助成金と仮定すると、従業員10人の会社が一月に4日休業日を設ければ、一月当たりの休業人数は40人ですから、7,000円×40人=28万円が国からもらえてしまうんですね、年間ではなんと336万円です。従業員の残業を抑制する効果もありますし、さらに別途一人一日6,000円もらいながら従業員教育ができてしまうなんて…。
 6月には支給率が4/5から9/10に引き上げられたり、教育訓練が半日でも認められる(ただし訓練助成金も半額の3000円。)など、益々使い勝手のよい制度になっています。当事務所の本業はもちろん会計事務所ですから、助成金申請のお手伝いはメインの仕事ではありませんが、お客様が喜んでくれるし、有効な経営改善策の一つには違いないので無償でお手伝いしています。
 それほど難しい手続きではないので、自社で申請することは十分可能ですが、国庫にも限度というものがあるはずです。もしまだの会社があるようでしたら、急がれることをお勧めします。

09/07/17金

税務署のワンストップサービス開始

カテゴリー: 記事 — simojo @ 16:53:47

国税庁では、平成21年7月10日から全国の税務署で受付窓口の一本化(ワンストップサービス)を行っています。
今までの税務署は、総務課、管理・徴収部門、個人課税部門、法人課税部門等と様々な窓口があり、用件の内容により訪れる窓口も異なっていました。
税務署を訪れる機会の少ない納税者にとっては、どこに行けばよいのかわからないといった声も多かったようです。
そこで、税務署を訪れる方へのサービスの向上を図るため、受付窓口の一本化が実施されました。
ワンストップサービスで済ませることができる手続きは、次のような手続きです。

① 各種の申告書および申請書等の提出
② 各種用紙の交付請求
③ 納税証明書の請求および受領
④ 国税の納付
⑤ 国税にかかる制度や手続きに関する一般的な相談

税務署からの照会に関する問い合わせや、具体的な書類の確認が必要となる個別的な相談などは、引き続きそれぞれの担当部署での対応となります。
また、国税に関する一般的な相談については、税務署を訪問することなく、電話相談センターで集中的に受け付けています。
なお、当会計事務所が属する岐阜北税務署は、以前から1階ロビーにてワンストップサービスを実施しているため、これまでと変わりなく訪れることができます。

09/05/23土

含み損益による経営

カテゴリー: 記事 — simojo @ 15:21:13

ある顧問先の決算で、会社にまとまった臨時収入があったため、このままでは法人税等が大きくなりすぎるということで、節税対策をあれこれ検討しましたが、リーマンショックの影響もあってか、お蔵入りしていた上場株式の評価損を計上することにより課税所得を抑えることとしました。税務上の損金算入ができる要件は①帳簿価額の概ね50%相当額を下回ることとなり、かつ、②近い将来その価額の回復が見込まれない場合(法基通9-1-7)となっており、これを適用しました。税法では他にも固定資産や棚卸資産、非上場有価証券などに評価損の損金算入を認めていますが、評価の基準となる「時価」の把握に苦労することになりますので、時価が明らかな上場有価証券の評価損は唯一適用し易い規定と言えそうです。

ところで、有価証券の含み損や長年所有している土地などに生じる含み益を、表(おもて=決算書)に出さないでおくことは、私の立場からは決して推奨できることではありませんが、先の顧問先の決算結果のように安定的な経営に資する面はあると思われます(程度問題ですけど)。一方、上場企業など強制的に時価評価されてしまう会計制度のもとでは、投資家は時価に基づく決算情報が得られる反面、毎年の時価変動に一喜一憂しなければなりません。時価に振り回されて損失を被ったとしても自己責任ということになります。

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