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年末調整


●年末調整

1.概要

 年末調整とは、1年間の給与に対する税金の精算作業です。
 皆様が事業を営んでいて、社員にお給料を払っているのであれば、年末調整を行うこととなります。 また、会社組織にしている場合には、会社から自分に払っている給料(役員報酬)についても原則として、この作業を行うこととなります。

2.月々の税金は原則多めにとられている

 給料明細を見ると毎月給料から色々な税金等が控除されていると思います。
 健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料(役員は原則無し)、源泉所得税、住民税、その他会社により財形等が取られていると思います。このうち、年末調整の対象になるのは「源泉所得税」です。
 源泉所得税以外の給料から控除されている社会保険料等は、年末調整のような作業は原則必要とされません。雇用保険料は会社としての精算作業はありますが、従業員には影響しません。
 月々の給料から控除される源泉所得税の計算は、法律等により定められていますが、だいたい年末調整で還付になるように設定されています。ただし、年の途中で子供が勤めだして扶養から外れた等のケースでは、年末調整で税金を取られることもあります。

 国も色々と人の心理を考えているようですが、扶養家族が少なくなる等というケースまではさすがに考慮できないのでしょう。

3.年末調整の対象者

 年末調整は、給与をもらっている人が、まず会社や個人事業主に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していることが前提です。
(1)年末調整の対象者
  ●1年を通じて勤務している人
  ●中途入社して、年末まで勤務している人
  ●その他、死亡等により中途退職した人等
(2)年末調整の対象外の人
  ●その会社等からもらう給与の金額が2,000万円を超える人
  ●源泉税乙欄適用者
   ・他の会社等に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人
   ・年末調整までに、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない人
  ●中途退職者で、死亡退職等の特別な事情等の無い人
  ●非居住者
  ●日雇労働者
  ●その他災害減免法等の適用者
  なお、年末調整対象外の人についても、給与の源泉徴収票を本人に発行する必要があることから 「給与所得者の扶養控除等申告書」を従業員から入手しないとしても、その従業員のデータは必要となります。

4.源泉所得税の納税義務は会社にある

 源泉所得税を払わなかった場合、その責任(払う義務)はどうなるかという話があります。
 社員の税金なんだから、社員が勝手にやってくれ!これは通りません。
 給与を払う人(会社)が源泉所得税を国に納める義務があります(源泉徴収義務者)。
 従業員の税金なのに何故?という疑問もでると思いますが、法律で決まっている以上は仕方ありません。ですから、従業員の給料から天引きした金額が少なくて、税務署に払う金額が少なかった場合にも、税務署に指摘されたら会社がまず払わなければならないのです。
 あとからその分従業員から徴収することとなりますが、現実にはとれないこともよくあります。

5.一番重要なこと

 手続より重要なのは各種控除だと思います(税金を減らすもの。)
 以下、各種控除項目について、述べていきます。

(1)配偶者控除

 配偶者控除、収入の少ない一定の配偶者がいれば、原則38万円が控除される(住民税では原則33万円)というものです。多くのパート主婦が勤務先と給料を調整したり、しなかったりと話を聞くところです。
 旦那さんに適用される所得税、住民税の税率により、いくら税金が安くなるかは異なります。

  所得税率20%、住民税率10%の人とすれば、38万円×20%=7.6万円、33万円×10%=3.3万円
   合計で、11万円ほど税金が安くなります。

 配偶者控除を受けるための要件は、以下の全てを満たす必要があります。
 ●「合計所得」が38万円以下であること
 ●個人事業主(夫等)の事業専従者でないこと
 ●同じ財布で生活していること(「生計を一にする」といいます。)

 具体的に配偶者控除(38万円の控除)を受けるためには

 簡単に言えば、配偶者について、
 ●お給料だけなら、給与収入年間103万円以下
 ●年金だけなら、年金収入年間108万円以下
 (その配偶者が65歳以上の場合は158万円以下)
 ●請負の内職(特例の適用がある場合があります。)だけなら利益38万円以下
  となります。

※「配偶者」控除ですので、別に奥様のいる旦那において適用するのではなく、その逆も適用が可能です。
※ 別居していても、財布が一緒であれば、他の要件を満たせば受けられますので、同居してないとダメとということはありません。
※配偶者控除を受けられる場合、配偶者が70歳以上の場合や、同居特別障害者(重い障害者)の場合には、控除額が増加します。
 ・70歳以上の配偶者・・・48万円(住民税では38万円)
 ・同居特別障害者(重度の障害者)の配偶者・・・73万円(住民税では56万円)
 ・70歳以上の同居特別障害者(重度の障害者)の配偶者・・・83万円(住民税では61万円)

(2)配偶者特別控除

 収入の少ない一定の配偶者がいれば、最大で38万円が控除される(住民税では最大33万円)というものです。
 控除額は、配偶者の所得金額(簡単に言えば税務上の利益)により、異なります。

 適用要件は、以下の全てを満たす必要があります。
●個人事業主(夫等)の事業専従者でないこと
●同じ財布で生活していること(「生計を一にする」といいます。)
●本人(旦那等)の合計所得金額が1,000万円以下
 (給与収入だけなら年間12,315,790円以下)

 配偶者が給与収入だけの場合では、その配偶者の給与収入が年間103万円を超えたら、この適用があります。そして、配偶者の収入が増えるほど控除額が順次減っていき、配偶者の給与収入が年間141万円以上になると、一切控除ができなくなります。

 パート収入が103万円を超えて配偶者控除が受けられなくても、配偶者特別控除の適用がありますので、パート収入を103万円以下に抑えるという手法は以前ほど必要がなくなっています。ただし、旦那等の給与収入が多い(12,315,790円を超える)場合には、配偶者特別控除が受けられませんので注意が必要です。

(3)扶養控除

 一定の扶養している家族がいれば、原則38万円が控除される(住民税では原則33万円)というものです。
 
 この適用を受けるための要件は、以下の全てを満たす必要があります。
 ●「合計所得」が38万円以下であること
 ●個人事業主(夫等)の事業専従者でないこと
 ●同じ財布で生活していること(「生計を一にする」といいます。)
 ●一定の親族であること(ほとんどの親族、正確には6親等内血族、3親等内姻族です。)

  収入の金額については、上記(1)配偶者控除と同じです。
  したがって、親の年金収入が多い場合には、扶養に入れられないこともあります。

 簡単に言えば、お子様や親等について、
 ●お給料だけなら、給与収入年間103万円以下
 ●年金だけなら、年金収入年間108万円以下
 (その親等が65歳以上の場合は158万円以下)
 ●請負の内職(特例の適用がある場合があります。)だけなら利益38万円以下
となります。

  控除額は原則では38万円(住民税では原則33万円)ですが、
 以下の場合は、それぞれの控除額となります(控除額が増えます。)。
 ●16歳以上22歳までの扶養家族・・・・63万円(住民税では45万円)
 ●70歳以上の同居扶養家族・・・・58万円(住民税では45万円)
 ●70歳以上の同居していない扶養家族(生活費等の送金等している)
  ・・・48万円(住民税では38万円)
 これらの人がさらに、同居特別障害者(重度の障害者)に該当する場合には、さらにプラス35万円(住民税では23万円)が控除できます。
  

(4)障害者控除

 本人や一定の扶養している家族が障害者であれば、控除枠があります。
 なお、これは、配偶者控除や扶養控除で同居特別障害者の控除の加算とは別枠での控除となります。この障害者控除では、特別障害者(重度の障害者)までいかなくても控除が受けられる場合があります。
  
 一定の扶養している家族の要件は、配偶者控除と扶養控除と同一です。
 さらに、障害者控除が受けられるには、一定の障害者に該当する必要があります。

 この要件はかなり細かいものもありますので、主要なものを挙げますと、
 ●成年被後見人・・・特別障害者
 ●精神障害者手帳1級の人・・・特別障害者
 ●身体障害者手帳1,2級の人・・・特別障害者
 ●常に就床を要し、複雑な介護を要する人・・・特別障害者
 ●上記以外でも、障害者手帳の交付を受けている人・・・障害者
  などがあげられます。

 また、上記以外でも控除を受けられる場合もありますので、詳しくは税務署や顧問税理士にお尋ね下さい。

 控除額は、特別障害者1人につき40万円(住民税では30万円)、障害者1人につき27万円(住民税では26万円)です。
 ただの障害者では、配偶者控除や扶養控除で、控除額の加算はないですが、同居特別障害者だと控除額の加算があります。
 扶養家族に同居特別障害者がいるとかなり大きな控除額となります。
   

(5)生命保険料控除

 一定の保険料を支払っていれば控除できるというものです。なお、一般の生命保険と個人年金で、その控除枠が異なります。
 控除額としては、多くはありません。
  
●一般の生命保険分で、保険料10万円まで考慮され、最大5万円の控除
 (住民税では、保険料7万円まで考慮され、最大3.5万円の控除)
●個人年金分で、こちらも、保険料10万円まで考慮され、最大5万円の控除
 (住民税では、保険料7万円まで考慮され、最大3.5万円の控除)
 となります。

(6)地震保険料控除

 平成19年度から損害保険料控除がなくなり、地震保険料控除が新設されました。
 (長期損害保険料はH18年までに締結されたものは控除対象となります。)
 本人や財布が一緒の親族の所有している自宅や日常の家財が対象の保険の保険料で、最大5万円(住民税は2.5万円)を控除できるというものです。
 控除額は、地震保険料控除とあわせて最大5万円(住民税は最大2.5万円)の控除までです。
 但し、長期損害保険契約のみですと、最大1.5万円(住民税は1万円)の控除までです。

(7)社会保険料控除

 自分や財布が同じ親族の社会保険料を払った場合に、その全額を控除できるというものです。

 給与から天引きされている分は、そのまま年末調整で反映させればいいのですが、それ以外に自分で払った金額については、保険料控除申告書に記載しないと控除を受けられませんので、ご注意下さい。
 特に、国民年金の保険料は、生命保険料控除と同様に、その控除証明書を添付しないといけなくなっています。払った金額について、全額控除できます。
 ここでいう社会保険料とは、厚生年金保険料、雇用保険料、健康保険料、厚生年金基金の掛金等をいいます。

(8)小規模企業共済等掛金控除

 小規模企業共済の掛け金などを支払った場合には、全額控除できるというものです。
 上限はありません。小規模事業主や会社役員が加入できます。
 詳細は、(独)中小企業基盤整備機構のホームページを参照下さい。
 将来受け取るときも、その受け取り方で税務上の取り扱いが異なります。
 一括受け取りの場合は、原則、退職所得となりますので、税務上有利です。

(9)寡婦(寡夫)控除

 あまりでてこない控除ですが、離婚経験者等は受けられる場合があります。
 控除額は、27万円(特別の寡婦は35万円)です。
 (住民税では原則26万円、特別の寡婦は30万円)

(10)基礎控除

 だれでも受けられる控除。38万円です(住民税では33万円)。

(11)勤労学生控除

 ほとんど登場しません。省略。

(12)住宅ローン控除

 住宅ローン控除は、上記(1)~(11)の所得控除と異なり、税額控除です。
 つまり、税金そのものを減らすもので、税額へ直接影響します。
 居住初年度に確定申告を行なっていれば、2年目以降は年末調整時に控除を行なうことができます。
 居住開始年度により、控除額は異なります。

 医療費控除や初年度の住宅ローン控除は年末調整では行えないので、ご注意下さい。

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